リピート率60%を誇る由布院温泉!40年間続くまちづくりの物語


リピート率60%を誇る由布院温泉!40年間続くまちづくりの物語「行ってみたい温泉地ランキング」で、常に上位にランクインしている大分県由布院温泉。年間400万人もの観光客が訪れ、約6割がリピート率を保つ、温泉地づくりの成功事例の代表格です。

そんな由布院温泉は、実際に行ってみると、案外全国どこにでもありそうな、普通ののどかな温泉地。

そんな一見普通の温泉地の人気を今もなお支えている、40年間にも渡るまちづくりストーリーがあります。

由布院温泉は、大分県由布市湯布院町にある温泉。
標高1,584mの活火山「由布岳」による豊富な湯量を誇る、九州を代表する温泉地です。

 

まずは地域の信頼関係を築いて

由布院温泉は、40年程前は、宿をすべて合わせても20軒ほどの小さな温泉町でした。
そんな小さな由布院温泉は、1つ1つの宿が競争し、観光客を取り合うのではなく、地域の横のつながりを強くし、結託する道を選びました。

例えば、旅館が売上を互いに公表し合うことや、板前やシェフがレシピを共有するということが行われていました。

一口に売上を公表する、といってもそう簡単にいくものではありません。
長い年月をかけ、幾度にも渡る話し合いの末に出来上がった、由布院ならではの取組みです。

このように透明性を高めることによって、同じ由布院温泉で営む旅館同士の信頼関係が生まれました。


由布院温泉「亀の井別荘」

 

ひなびた状況が好転

由布院が、小さく、しかし強く地域の結託を進めている最中、他の多くの温泉地では、大型ホテルやリゾート施設の建設、また、ネオンが輝く歓楽街が作られ、バブルの頃には、大型バスで団体観光客を迎え入れ隆盛を極めていました。

この頃、由布院温泉はまだ「ひなびた」温泉地です。
しかし、この状況が、後に好転することとなります。


湯布院町、金鱗湖(きんりんこ)から紅葉を望む

 

運命を決めた海外視察

由布院温泉は、他の多くの温泉地がリゾート化していく中、もともとあった田園風景を残して、独自の景観や雰囲気を作ろうとしました。
というのも、由布院温泉はもともと温泉「保養地」としての性格が強い温泉地。楽しく遊ぶ土地ではなく、ゆったりと身体を休める土地だったという歴史を大切にしたのです。

では、保養地として、どんなまちを作ればいいのか。

由布院温泉の高級旅館「由布院玉の湯」の溝口薫平氏や「亀の井別荘」の中谷健太郎氏を中心に構成される、まちづくりを中心的に進めるチームは、ドイツのバーデン=バーデンという町に視察に行こうと決意。
バーデン=バーデンは、ヨーロッパ有数の観光地であり、同時に滞在型保養都市としても知られています。

まだ1ドル360円の時代に、経営難の旅館がドイツに視察に行くなど当時としては無謀な話。
当時の町長であった岩男頴一氏にも協力を得、また様々な人の協力を得て、最終的に50日間ものドイツ研修が実現しました。

緑や空間、静けさ、その中で“ほっ”とできること。それが癒しであり、滞在型保養地ということ、そして、長く滞在してもらうためには、地域「全体」でお客様を迎える用意が必要だということ、様々な学びがあったといいます。

このドイツでの学びをもとに、由布院の包括的な保養地としてのまちづくりが進められました。
ゆったりとした自然の中での音楽祭の開催もその1つです。


ヨーロッパ随一の保養地、バーデン=バーデン

 

「人を癒すすべてがある」由布院温泉

由布院温泉のまちづくりストーリーは、メディアからの注目を浴びることに。

キッカケは、NHKの、「プロジェクトX」。
「この町には、人を癒すすべてがある」というタイトルで、由布院温泉のストーリーが紹介されてから、全国的に知名度をあげることになったのです。

健康や環境に気を配るようになった最近の時代感も、うまく由布院温泉にマッチし、いまでは、女性客を中心に、多くの観光客が訪れる一大観光地となりました。

 

40年間の継続的まちづくりの賜物

旅館経営者たちが結託し、時代の流れに負けることなく、自らのまちの歴史を守り抜いたことで、見事観光地として成功を収めている大分県由布院温泉。
全国3000以上ある温泉地の中で、ランキングは常に上位。リピート率は60%を超えます。

40年続くまちづくりストーリーは今もなお続いています。
最近では若手アーティストの出店を支援したり、若者が親しみやすいまちづくりも進めていて、カップルにも人気の温泉地となっています。

今年の冬は、由布院温泉に浸かりながら、40年間のまちづくりのストーリーを肌で感じてみてはいかがでしょうか。

 

 

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