「どーーん」と9万ヶ所の公園を生み出す!公園から地域づくりを目指す米国NPO法人『カブーム!』


「どーーん」と9万ヶ所の公園を生み出す!公園から地域づくりを目指す米国NPO法人『カブーム!』子どもたちが、安心して遊べる公園。そこで遊ぶ子どもたちの楽しそうな声。
こころ豊かなまちづくりを目指す地域にとって、子どもたちの遊びの空間は、なくてはならない要素です。

そんな、地域の子どもたちのための遊びの空間を創ることで、コミュニティを再生しようとする取り組みがあります。

アメリカ合衆国の「KaBOOM!(カブーム!)」

住民が中心となって行う「公園作り」を通して、コミュニティを再生させるプロジェクトです。


(写真参照元:Flickr kaboomplay)

 

住民主導のコミュニティ再生を

KaBoom!(以下、カブーム)は、「全米のすべての子どもたちの徒歩圏内に遊び場を作ること」をビジョンとするNPO法人です。

1995年設立以来、全米に2100以上の遊び場を建設し、約350万人の子どもたちの遊ぶ環境を守っています。

カブームは地域住民と共に子供たちの遊ぶ空間づくりを行なっていくために、1つの公園建設にかかる費用、通常約600万円のうちの10%を地域住民による募金活動によってまかなうということを決めています。
これにより、地域住民の公園建設への当事者意識が醸成されるのです。


(写真参照元:Flickr kaboomplay)

 

カブームの主な取り組みは、3つです。

1. 木を植える(カブーム主導型で公園を建設する)
カブームの直轄経営による公園・遊び場の建設。
地域住民と一緒にカブームが中心となり計画、建設をします。

2. 種をまく(当事者参画型で公園を建設する)
公園建設までに必要なすべてのノウハウをウェブサイトやソーシャルメディア上で公開しているカブーム。
実際のプロジェクトの企画と実行は、各地域の当事者である住民が、カブームのウェブサイトを参考にしながら自律的に運営します。

3. 水をくれる人を集める(ボランティアを全国から募る)
公園作りに積極的に関わりたい人を「Playmakers(プレイメーカー)」と名づけ、自治体ごとに「Play Board(遊び場建設実行委員会)」としてボランティアチームを組織し、まちに遊び場が増えるように支援します。
また、毎年「Playful City USA(遊びの溢れる都市)」を選出することにより、競争機能を付与しています。

この3つの取り組みを通じて、カブームは「全米のすべての子どもたちの徒歩圏内に遊び場を作ること」の実現を目指しています。

カブーム直轄でできた公園は、現在全米で2100ヶ所以上。
そして、投資者参画型の取り組みで出来た公園は、2012年8月現在で、なんと、およそ90,000ヶ所にものぼります。


(写真参照元:Flickr kaboomplay)

 

公園がたった1日で完成する仕組み

カブームの公園建設にかかる期間は、トータルで数ヶ月間。
住民を巻き込み、計画を立て、子どもたちにニーズを聴いて回ります。資材集めや、建設の方法などの細かい計画を立てたら、あとは、「建設の日(Build Day)」という1日を決めてしまい、地域住民やボランティアで一気に作り上げます。

「KaBOOM!」とは、日本の漫画に出てくる「どーーーん!」という表現の英語表現。まさに1日にして、「どーーーん!」と公園ができてしまうわけです。

こうして突如完成した公園は、地域住民や関わったすべての人の感動を呼び、可能性を信じる力を人々に示してくれます。


(写真参照元:Flickr kaboomplay)

 

公園を作るという「プロセス」がコミュニティを再生する

「カブーム!」が提供するのは、出来上がった「公園」ではありません。

地域住民一体となって公園づくりを計画し、子どもたちのニーズを取り込んだ設計をし、「建設の日」には、みんなで力を合わせて建設する、といった一連のプロセスを地域に提供することによって、地域の人と人とをつなげ、コミュニティの再生を実現しています。


(写真参照元:Flickr kaboomplay)

 

「あれ、僕が描いたんだ!」

出来上がった公園は、紛れもなくみんなで作ったもの。
地域の子どもたちは、自分で作った公園で遊ぶことができます。

「あれ、僕が描いたんだ!」
「あの遊具は、私が提案したんだ!」
という声が実際に生まれているようです。

子どもたちが大好きな、地域コミュニティに根ざした公園が出来上がり、未来へと受け継がれていきます。


(写真参照元:Flickr kaboomplay)

 

公園から子供が安心して暮らせる町づくりを

子どもたちのための公園を作るプロセスを、まちに提供することによって、コミュニティの再生を目指す「KaBOOM!」の取り組み。
ウェブサイトやソーシャルメディアを積極的に活用して、自主的な公園建設を促し、創発的に全米の公園を増やしているのも、すごい点です。

「子どもたちが安心して遊べる空間がある」ということは、コミュニティが目指すべき1つの指標になりそうです。
車社会の日本は、まちの中は危険で溢れていて、すべての子どもたちの徒歩圏内に遊び場がある状況には程遠いです。
カブームは、日本でも是非行なっていきたい取り組みですね。

 

<米国KaBOOM!公式ページ>
http://kaboom.org/ 

<KaBOOM!公園作り「建設の日」の様子>