市民ぐるみで高齢者をまもる 名張市「地域SOSシステム」


市民ぐるみで高齢者をまもる 名張市「地域SOSシステム」三重県名張市で8月、行方不明となった市民を捜す「地域SOSシステム」の運用がはじまりました。年々増加する高齢者の行方不明者の問題に、市民が一丸となって取り組む事例です。
市長自ら、全国的にも珍しいというこの取組み、いったいどんなものなのでしょうか。


三重県 名張市美旗地区

地域SOSシステムとは、高齢者などが行方不明になった場合、地域住民と市が連携して捜索にあたるマニュアル・地域の体制と仕組みです。

行方不明者が出た場合、まず、家族から捜索依頼を受けた自治会や地区が市消防本部に連絡をします。事件性がないことを警察に確認し、家族の了承を得た上で公開捜索に切り替え、家族からの情報収集やチラシなどの準備を行います。

その後、該当地域の集会所などに地域SOS本部を開設。捜索に参加できる市民や捜索場所、期間などを地域主導で決定し、活動を開始。
市内の新聞販売店やタクシー会社、福祉施設などとも連携し、市民全体で行方不明者を捜すという仕組みです。

地域の危険な場所や迷いやすい場所などを、深く理解した住民が捜索を行うため、より効率良く探すことができます。

 

高齢者だけではない日本の行方不明者

実は、行方不明者になっているのは60代70代の高齢市民だけではありません。
グラフからもわかるように、10代や20代の若者の行方不明者も数多くいます。

地域をあげて市民が市民を見守るこの仕組みは、
隣人関係、リアルの人・地域との関係が希薄になりつつある現代の中で、繋がりを取り戻す一助になるかもしれません。

 

まとめ

高齢の方のために、まちのために、巡り巡って自分のために、まちの安全・安心をみんなで守る名張市の「地域SOSシステム」のご紹介をしました。

現在の日本は、人口の21%が65歳以上の「超高齢社会」。この傾向は今後も続き、行方不明者が今後増えていく可能性があります。未来の人口バランスを視野に入れた、「安心・安全」の地域づくりは、日本全体の課題です。

名張市の市民が市民を見守るこの取組みは、「安心・安全」の地域づくりのモデルとなる取組みかもしれません。