メガネフレーム国内シェア96%!伝統技術が町を支える福井県鯖江市


メガネフレーム国内シェア96%!伝統技術が町を支える福井県鯖江市視力が良くない人にとっての生活必需品として、またファッションアイテムとして、
私たちの生活になくてはならないメガネ。

メガネフレーム国内シェアの96%、世界シェアでは高級フレームを中心に20%、
100年以上続く一大メガネフレーム生産地が、福井県鯖江(さばえ)市にあります。

鯖江市のメガネ産業は、ローカルビジネスとして、どのような歴史を歩み、100年以上もの間、人々の生活を支えているのでしょうか。

 

農閑期の副業として

鯖江市のメガネ産業が始まったのは、明治38年のこと。
増永五左衛門という人物が、北陸地方の寒い冬の農閑期の副業として、比較的少ない初期投資で現金収入が得られるメガネフレーム作りに着目しました。

当時メガネ作りが盛んであった大阪や東京からメガネ職人を招き、鯖江に住む人々を弟子として迎え入れ、製造技術を伝えたことが始まりといわれています。

その後、職人ごとにグループを形成、グループで競い合う中で、腕が磨かれ、分業独立が進み一大産地が形成されました。
2度に渡る戦争特需や、高度経済成長期を経て、鯖江のメガネ産業は急速に成長を続けました。

 

鯖江ブランドで売ることに

成長を続けてきた鯖江のメガネ産業も、1992年をピークに生産量が落ち込み、出荷額・生産者ともに3割減、メガネ産業関連事業所の数は実に4割も減少しました。

それまで、鯖江のメガネ産業は、受注生産、いわゆるOEMで成長してきましたが、中国産の価格の安いフレームの流通や、国内での格安メガネ販売店の増加などが衰退の原因と言われています。

そこで、2000年以降、鯖江市は生産されるメガネを「鯖江ブランド」として確立し、作るだけではなく、作って販売もすることに、大きく方針を転換。

自社ブランドの立ち上げや直販店の展開など、歴史に裏打ちされた職人の技術力を武器にして、価格崩壊するメガネ市場に逆行して「プレミアム」な風を吹かせています。

 

産地統一ブランドの確立

2000年からの、「受注生産からの脱却」の流れをそのまま汲み、
2003年からは鯖江市のメガネフレームのクオリティを国内外にアピールするため、地元メーカー20社以上が参加する産地統一ブランド「THE291」(ザ・フクイ)を展開しました。

2008年には、東京青山にある福井県のアンテナショップの近くに、産地ブランドをアピールするためのメガネのアンテナショップ「GLASS GALLERY 291」がオープン。
筆者も訪れたことがありますが、洗練されたプレミアムな雰囲気が漂う、お洒落なお店です。

2009年には、国内最大級のファッションイベント「東京ガールズコレクション」で、鯖江市のメガネが登場。
産地統一ブランド「THE291」としての地位を固めることに成功しています。

日本が誇るべきローカルビジネス

農閑期の副業として、今から100年以上も前に始まった鯖江市のメガネ産業。
一度は産業衰退の危機に晒されたものの、地場産業という強みを活かして、プレミアムなブランドの定着に成功した、日本が誇るべきローカルビジネスです。

現在でも、高いデザイン性が評価されているイタリア、安く大量生産をする中国と並び、世界三大メガネフレーム生産地として、鯖江の名を世界に轟かせています。

本当に良質なものをプレミアムな価値をつけて売るという方針は、デフレーションからの脱却が課題となる、今の日本の産業のヒントにもなるかもしれませんね。

 

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<鯖江メガネファクトリーページ>
http://www.city.sabae.fukui.jp/users/monodukuri/sabaemegane/index.html

<鯖江市メガネアンテナショップ Glass Gallery291ページ>
http://gg291.com/