「タダの葉っぱ」が町を救う? 徳島県上勝町の秀逸なビジネスモデル


「タダの葉っぱ」が町を救う? 徳島県上勝町の秀逸なビジネスモデル徳島県は上勝町。料理を引き立てるために使われる「つまもの」を提供する、全国でも有数の町です。

「つまもの」として使われるイチョウやもみじ、椿の葉は一見、このどこにでもありそうな葉っぱです。しかし、これが衰退しつつあった徳島県上勝町を復活させ、今や「葉っぱビジネス」として2億6000万円もの売上をあげる町の主要産業にまで成長しています。

実は明日9/15、上勝町を救った「葉っぱビジネス」を題材にした映画『人生、いろどり』が全国公開されます。映画化されるほどの「葉っぱビジネス」。その内容はいったいどんなものなのでしょうか。

壊滅的な町を救った「タダの葉っぱ」

徳島県上勝町は山に囲まれ、過疎化と高齢化が進んでいる町、もともとはみかん栽培が盛んだった町です。
ところが、1976年(昭和51年)大寒波によって、町のほとんどの樹木が枯れ、オレンジの輸入自由化もあいまって地場産業が急速に衰退。
町は壊滅的な状態になりました。

そんな、衰退してしまったみかん産業代わりとなるものとして、
当時営農指導員として上勝町の農協に来ていた横石知二さんの発案によって、
始まったのが「葉っぱビジネス」。1987年のことです。

商品は山間部で採取した葉や花といった「タダの葉っぱ」です。
落ち葉や枝を拾って市場に販売するというもの。

しかし、当初は葉っぱの具体的な使い方も把握しておらず、数多くの在庫を抱え大変な状況だったといいます。

売上の向上、高齢者の雇用に貢献、秀逸なビジネスモデル

この葉っぱビジネスは需要を創出する点、そして高齢化する中で高齢者の雇用を創出する点でたいへん優れた仕組みを作り上げています。

1. 季節を先取りする商品開発
通常、料亭などで使われる「つまもの」は、季節を少し先取りします。
そのために、自然に生えている葉っぱでは、商品にはなりません。
上勝町では、「夏の終わりには、赤く色づいたもみじを出荷」といったように、季節を先取りできるよう、商品開発・栽培がされています。

2. 需要にこたえる生産体制
「つまもの」ビジネスは、非常にニッチな産業であるがゆえに、需給が合致して初めて市場が生まれ、ビジネスとして成り立ちます。
消費者が、もみじが欲しい時に、どんぐりがあっても意味がありません。
かと言って、必需品ではないために、あまりに高価だと売れません。
需給の絶妙なバランスを保ちながら、売上げを上げていくために、
上勝町では、情報ネットワークと、タブレット端末などの最新のデジタルデバイスを導入し、消費者が欲しいタイミングで、欲しい商品を、適切な量だけ供給できる体制を整えています。

3. 高齢者にもやさしい仕事
葉っぱビジネスの主役は、70〜80代のおばあちゃんたち。
重労働で知られるみかん栽培に比べ、商品が軽い葉っぱビジネスは、足腰にも優しく、高齢の方でも取り組みやすい仕事になっています。

まとめ

町を元気に蘇らせた「葉っぱビジネス」。いまでは「つまもの」市場の80%が上勝町独占。我がまちの産業立て直しの参考に、と、国内外から、年間約4,000人の視察が訪れるほど、全国から注目を浴びています。

ビジネスモデルが秀逸というだけでなく、高齢化が進む中で、高齢者の方が元気に働ける職場を創出しているのがすごいところ。

明日から、上勝町の葉っぱビジネスを題材にした映画『人生、いろどり』が全国ロードショーされます。
読者のみなさん、是非映画館に足を運び、鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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<『人生、いろどり』予告編 Youtubeより>

<『人生、いろどり』公式ページ>
http://www.irodori-movie.jp/index.html