20分かけて焼き上げるほっとけーきが絶品カフェ!「傳吉商店/でんきちしょうてん」(北千住)

商店街などの大通りがにぎわう一方、角を曲がれば、細い路地に古い建物がならぶ北千住。レトロな雰囲気も漂うこの街は、近年「住みたい街」として人気を急上昇させていることでも有名です。

【リノベ・古民家カフェ vol.78】「傳吉商店(でんきちしょうてん)」(北千住)
駅の西口を出て、目の前の大通りをしばらく進むと、左手に商店街があらわれます。その商店街の路地を一本入ると、今回訪れたカフェ「傳吉商店(でんきちしょうてん)」がありました。

【リノベ・古民家カフェ vol.78】「傳吉商店(でんきちしょうてん)」(北千住)
古民家を改装したこちらのカフェ、お店だと気付かずに目の前を通りすぎてしまうほど、路地に馴染みきっています。

時間の流れがゆるやかな、落ち着きの店内

小さな入口からお店に入ると、店長さんが声をかけて下さいます。入って大丈夫ですか、と尋ねると「大丈夫ですよ、どうぞ~」と返してくれました。なんだかゆるさを感じる雰囲気の店長さんに、肩の力がほっと抜けます。

【リノベ・古民家カフェ vol.78】「傳吉商店(でんきちしょうてん)」(北千住)
店内には、テーブルが3卓と、カウンターに椅子が4つ並ぶのみ。古い木目の家具や、時代を帯びた照明のあたたかい明かり、すべてが調和しています。

お店自体が小さいので、満席になっても店内は静かです。周りを気にせず、とても落ち着くことができます。木のぬくもりが感じられる空間は居心地がよく、リラックスタイムにもってこいです。

【リノベ・古民家カフェ vol.78】「傳吉商店(でんきちしょうてん)」(北千住)
また面している路地の静けさが、店内の落ち着いた雰囲気を引き立てています。時間の流れが穏やかで、ついつい長居したくなります。

平日の午後2時台、訪れた際お店にはお客さんはいませんでした。3時台、つぎつぎと人が増え、小さな店内はあっという間に満席に。とても人気で、週末は満席なことが多いこちらのカフェ。平日の午後一番は、ねらいどきかもしれません。水曜日は定休日なので注意してくださいね。

注文後から20分かけて焼き上げる、人気の「ほっとけーき」

ドリンクは「黒酢ざくろジュース」や「温州みかんジュース100%」など少しこだわったものもあり、500円前後。

メープルシロップやクリームが乗ったスイーツ系はもちろん、ベーコン・レタス・トマト・チーズがサンドされた「BLTC」まであるほっとけーきは600円からです。ほっとけーきには+100円でトッピングも追加できるようです。

【リノベ・古民家カフェ vol.78】「傳吉商店(でんきちしょうてん)」(北千住)
【リノベ・古民家カフェ vol.78】「傳吉商店(でんきちしょうてん)」(北千住)
「20分かけて焼き上げるほっとけーき」で有名な傳吉商店。「プレーンほっとけーき」をお願いすると、シャカシャカシャカ・・となにかを混ぜる音が聞こえてきました。注文を受けてから生地を作っているのでしょうか。そこから焼き上げるようです。うかがえる様子に期待も膨らみます。

先にドリップコーヒーが運ばれてきます。ていねいにハンドドリップされたコーヒーは、日替わりのもの。この日はルワンダ産のコーヒーで、酸味が弱く飲みやすかったです。ソーサーに乗せられた木のスプーンが、お店の雰囲気にマッチしています。

【リノベ・古民家カフェ vol.78】「傳吉商店(でんきちしょうてん)」(北千住)
しばらくして、ほっとけーきが出てきました。コーヒーと一緒に、素敵な店内を楽しんでいたらあっという間です。

ほっとけーきは・・厚い。とても厚いです。5cmくらいはありそうです。自宅で作る2、3倍以上の厚みに感じるほど。ナイフを入れてみると、やわらかい。ふわふわで、極厚の見た目とは裏腹です。口へ運ぶと、ふわっと幸せが広がります。ほんのり甘い。
とはいえ、ボリュームがあり、満足感はバツグンです。

ステキな雑貨と本で、ついつい長居してしまうお店

こちらの傳吉商店さん、以前は「cafe CONVERSION」というお名前でしたが、今年(2015年)の春から「傳吉商店」に改名したそうです。実は「cafe gallery CONVERSION」という名の姉妹店が、おとなり埼玉県・草加市にあります。ご夫婦でお店を持っていらっしゃるようで、草加の方は奥様が店主さんです。

【リノベ・古民家カフェ vol.78】「傳吉商店(でんきちしょうてん)」(北千住)
さて、名前にgalleryと入っているとおり、姉妹店にはアーティストの作品が展示されていたりするのですが、北千住の傳吉商店にも似たスタイルがみられます。センス良くセレクトされた雑貨や、アーティストの作品が置いてあります。

見ているだけでも楽しいのですが、実は売られていて買うことが出来るんです。お茶の時間を楽しんだ帰りには、素敵な雑貨を選んでみる。なんていうのも楽しみになりますね。

【リノベ・古民家カフェ vol.78】「傳吉商店(でんきちしょうてん)」(北千住)
置かれているのは雑貨だけではありません。入口すぐの角には本棚もあり、さまざまな本が並んでいます。持参していなくても、コーヒー片手に本を読みながら時間を過ごせるのはよいですね。ますます長居してしまいそうです。

一人の時間を楽しむもよし、友達とゆっくり話を楽しむもよし、そんなカフェです。落ち着いた空間で過ごしたいとき、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

北千住の隠れ家、古民家カフェ「わかば堂」(北千住)

江戸時代に宿場町として栄え、古き良き下町の雰囲気が今も残る東京都・足立区の北千住。上野や浅草までほど近いエリアです。

【リノベ・古民家カフェ Vol.72】「わかば堂」(北千住)
どこか懐かしい時間が流れるこの街に、溶け込むように佇んでいるのがこちらのカフェ「わかば堂」。

【リノベ・古民家カフェ Vol.72】「わかば堂」(北千住)
地下鉄もJRも通っている北千住の駅前は、たくさんの人が行き交っています。あたりにはにぎわう商店街や、メイン通りを一本外れると、路地好きにはたまらないような細い路地がいくつもあります。

【リノベ・古民家カフェ Vol.72】「わかば堂」(北千住)
駅から徒歩5分とアクセスが良いながらも、とても細く静かな路地に「わかば堂」はあります。

アンティーク調で落ち着きのある店内

戦前から残る古民家をリノベーションしてつくったという、こちらのカフェ。緑のあるかわいらしい入り口が目印です。二階建ての店内には、カウンター席が4席とテーブル席が36席あります。

【リノベ・古民家カフェ Vol.72】「わかば堂」(北千住)
お店の中は小さめですが、席と席の間隔がちょうど良く、圧迫感がありません。このサイズ感がとても落ち着きます。
茶を基調とした空間には、センスを感じさせる、さり気ない雑貨がたくさん。アンティーク調の家具や雑貨は、オーナーが趣味で買い集めたのだとか。テーブル席に置かれた椅子は一点ずつ異なり、こだわりを感じます。

【リノベ・古民家カフェ Vol.72】「わかば堂」(北千住)
2階は、店内が最もにぎわうランチ/ディナータイムのみに開放されている、人気のスペース。そんな2階へと続く階段は、古い家屋の趣を放ち、良い雰囲気です。
また、2階にはベランダや大きな窓から光が入り、空に繋がる気持ちの良い場所です。1階とはまた少し違う表情をみせてくれるのが面白いですね。

店内のスピーカーにはなんと、真空管アンプを使用しているそうで、音の質にもこだわっています。
真空管は特性上、不快に感じられる音が少なく、本物に近い自然な音を響かせてくれます。そこから流れる心地よい音楽は、ゆったりとしたお店の雰囲気に欠かせない存在です。

季節を感じられる手作りのスイーツ

メニューの種類の豊富さは、このカフェの特徴のひとつ。パスタやピザ、お肉や魚などのメイン料理から自家製のパンまで。前菜はなんと500円以下がほとんど、他のお料理もほとんどが1000円以下と、とても良心的な値段です。
カフェメニューも500円前後とお安く、アルコールドリンクも充実しています。


好きなスイーツとドリンクを組み合わせられるTea Time Setは850円~。お料理だけでなく、スイーツも手作りのものが並んでいます。
せっかくこの時期に訪れたので、かぼちゃのチーズケーキをチョイス。まろやかなカフェラテと一緒にいただきました。ケーキは注文を受けてから丁寧に盛り付けして下さいます。きれいに盛り付けがされたお皿に、お店の丁寧さを感じます。

【リノベ・古民家カフェ Vol.72】「わかば堂」(北千住)
ぶどうと柿のトッピングで秋らしさが詰め込まれていました。かぼちゃの優しい風味が広がる、口当たりの良いチーズケーキです。

季節を感じられる手作りのスイーツ
スコーンやマフィンなどもあり、スイーツと同じようにテイクアウトも出来ます。もちろん、どれも手作りの一品。
平日は24時まで(L.O23時)営業していて、遅い時間にも美味しいごはんが食べられるのは嬉しいですね。

路地裏にある下町のあたたかみ

お店を出るとどこからか猫が歩いてきました。
この路地に並んでいるお店のいくつかは「わかば堂」と同じ系列の経営で、猫好きのオーナーさんのところに、猫ちゃんたちが集まるそうです。そう教えてくれたのは、すぐそばの系列店の店員さんでした。「猫が好きなんですか?」とにこにこ話しかけて下さいました。これが下町のあたたかさでしょうか。そんなやりとりや、猫のいる路地風景にも不思議とほっこりしました。

季節を感じられる手作りのスイーツ
今回訪れたのは夕方ごろでしたが、男女、様々な年齢層の方がいらっしゃいました。まさに「隠れ家」のような素朴なたたずまい。それなのに多くのお客さんが訪れるのは、みんなが足を運びたくなる魅力がこのカフェにはあるからなんですね。

谷根千エリアのシンブル!古民家カフェ「カヤバ珈琲」(根津/日暮里)

多くの人に愛されて蘇った、古民家カフェ

歴史ある建物や街並みが残る、谷中、根津、千駄木。
都心部に近いながらも下町情緒に溢れるこの“やねせんエリア”(谷中、根津、千駄木)は、地元民には勿論、多くの観光客に愛されています。

この“やねせんエリア”のシンボル的なカフェ、「カヤバ珈琲」。
築90年を超える本格的な古民家をリノベーションした、都内でも最も有名な“古民家カフェ”の一つではないでしょうか。

【リノベ・古民家カフェ vol.7】 「カヤバ珈琲」(根津/日暮里)
築90年を超える古民家

【リノベ・古民家カフェ vol.7】 「カヤバ珈琲」(根津/日暮里)
お店近くの街並み。いい素敵な建物が沢山残っています

カヤバ珈琲は、昭和13年(1938年)に開業した老舗の喫茶店です。
2006年に店主だった女性が亡くなられたことで、多くの人に惜しまれながらも一度お店を閉じてしまいます。

しかし、閉店から3年後の2009年、地元のNPO法人たいとう歴史都市研究会と現代美術ギャラリーSCAI THE BATHHOUSEが協力して建物を借受けて運営することで、カヤバ珈琲は復活再生しました。

築90年の面影が残る店内と、心落ち着く喫茶メニュー

建物の外観はさほど手を付けていません。
外周や店内の花はプランツアーティストの木咲 豊氏、内装デザインは「永山祐子建築設計」の永山 祐子氏が担当されました。

大正町家の柱梁や外観、昭和喫茶の思い出ある看板、椅子、カウンターなどを再利用し、建物の雰囲気と店内の面影を残しつつも、見事なまでに、現代にフィットした空間になっています。

【リノベ・古民家カフェ vol.7】 「カヤバ珈琲」(根津/日暮里)
古天井に妙にマッチしたモダンな照明

フロアは1階と2階。
1階は、テーブル席で壁やカウンターなどの細部にモダンな要素が取り入れた空間。2階は1階とは大きく変わって、畳にちゃぶ台、と“これぞ古民家”といった空間。足を伸ばして座るとついつい長居したくなってしまいます。

【リノベ・古民家カフェ vol.7】 「カヤバ珈琲」(根津/日暮里)
畳の温もりが、心をほぐしてくれます

【リノベ・古民家カフェ vol.7】 「カヤバ珈琲」(根津/日暮里)
2階へのアプローチは、この急な階段で!

【リノベ・古民家カフェ vol.7】 「カヤバ珈琲」(根津/日暮里)
カヤバ珈琲の名物「ルシアン(ココアとコーヒーのブレンド)」

8時から始まるデイテイムメニューのドリンクは、コーヒー、ココアに始まり、ミルクセーキ、メロンフロートなど。フードはたまごサンド、ハムサンドやバタートーストなど所謂、昔ながらの喫茶店の名残があるメニューとなっています。

18時~23時のディナータイムのドリンクは、ワイン、ビール、オリジナルカクテルなどのアルコールメニューと、コーヒーなどのカフェメニュー。フードはポテトや唐揚げ、アヒージョなどのおつまみから、しっかりお腹にたまるサンドウィッチや丼モノまでと豊富なメニューが用意されています。

この他にもランチタイムにはランチメニューもしっかりと用意されています。
これだけ営業時間が長く、メニューも豊富ですと、様々な使い分けができますね。

店の再生によって進化する、下町のコミュニティ

生まれ変わったカヤバ珈琲は連日連夜、多くのお客さんで賑わっています。
朝は8時から、夜は23時までと営業時間の長さと、それに合わせた営業スタイルが大きな魅力。

午前中は朝食を食べにくるお客さん、出勤前にコーヒーを飲みにくるお客さん、
日中はランチを食べにくるお客さん、友人や家族とお茶を楽しむお客さん、
夜は仕事終わりの一杯にくるお客さん、恋人とのデートにくるお客さん。

【リノベ・古民家カフェ vol.7】 「カヤバ珈琲」(根津/日暮里)
メニューのイラスト、いい雰囲気です。

【リノベ・古民家カフェ vol.7】 「カヤバ珈琲」(根津/日暮里)
炎天下でも入店待ちの人気ぶり

地元のお客さんが中心だったカヤバ珈琲は2009年のリノベーションを期に、遠方から訪れるお客さんも増え、様々なコミュニティが生まれています。

歴史あるお店が新たな価値を持って、再生する。
それによって、新たなコミュニティが作られ、更に地域が盛り上がる。
カヤバ珈琲の再生は、様々な地域の再生にも繋がるヒントになるのではないでしょうか。

【リノベ・古民家カフェ vol.7】 「カヤバ珈琲」(根津/日暮里)

コーヒーだけの一本勝負!古民家カフェ「オモテサンドウコーヒー/OMOTESANDO KOFFEE 」(表参道)

表参道の奥地に潜む、新しい形のコーヒーショップ

最先端のファッションやトレンドを発信する街、表参道。
常に、新しいショップやレストランやカフェができ、ビルが建設され、表参道の街は進化し続けています。

そんな表参道に、今までにはないちょっと珍しい経営をされているコーヒーショップがあります。
その名は「OMOTESANDO KOFFEE(オモテサンドウコーヒー)」。

OMOTESANDO KOFFEE/オモテサンドウコーヒー(表参道)
お店は民家の一室の中にあります

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 OMOTESANDO KOFFEE/オモテサンドウコーヒー (表参道)
お店通称“まい線通り”(写真左手前がまい泉本店)

表参道から一本入り、とんかつのまい泉本店がある、通称“まい線通り”(と言われている通り)のすぐ近く。大きな看板もなければ、通り沿いには目印となる建物もないもなく、草木に覆われた民家の一室にOMOTESANDO KOFFEEは佇んでいます。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 OMOTESANDO KOFFEE/オモテサンドウコーヒー (表参道)
ここが入り口です。知らないと通り過ぎてしまいそうですね

オーナーは、表参道のバール&ベーカリー「パンとエスプレッソと」を手がけた名バリスタの國友栄一さん。“コーヒーの売店”というイメージでお店を作られています。

店名が“COFFEE”ではなく“K”で始まる“KOFFEE”いうのもユニーク。
これは、オーナー國友さんのイニシャルと、KIOSK(キオスク)のKを掛けたのだとか。
「ヨーロッパの街角や公園で新聞とか雑誌を売っている様な雰囲気で美味しい珈琲を飲めたらいいな」という國友さんの想いが込められているそうです。
(※キオスクと聞くとJRのコンビニを想像しがちですが、キオスクとは売店全般のことを指しており、海外でも売店をキオスクと呼んでいます。)

シンプルな内装とメニュー。コーヒーだけの一本勝負!

店舗の外観は表参道には珍しくなってきた築60年の古民家。
内装はその外観を活かしつつも、ものすごいシンプルです。

民家の一室に、可動式のキューブ型の骨組みがあり、そこにコーヒーカウンターがあるのみです。席は、庭に2人掛けベンチが2台あるだけなので基本的にはテイクアウトがメインです。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 OMOTESANDO KOFFEE/オモテサンドウコーヒー (表参道)
古民家特有のアジを感じます

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 OMOTESANDO KOFFEE/オモテサンドウコーヒー (表参道)
庭には2掛けのベンチがあります

もともとOMOTESANDO KOFFEEは開店の時から、物件の取り壊しを予定していたために“1年間の期間限定”ということでオープンしました。(その後、多くのファンによる継続を熱望する声や物件オーナーの応援もあって現在も同場所で継続中)
そこで、出来あがったのが場所に応じて自在に形を変えることができる柔軟性のあるデザインだったのでしょう。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 OMOTESANDO KOFFEE/オモテサンドウコーヒー (表参道)

コーヒー以外のメニューは、コーヒーをよりおいしく楽しむために創られたカワイイ3.5cm立方体の「コーヒー菓子」。表面はカリっと香ばしく、中はとろりとしたカスタードクリーム。コーヒーの苦みと酸味を引き立てる、凝縮された甘みです。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 OMOTESANDO KOFFEE/オモテサンドウコーヒー (表参道)
コーヒーにぴったりの「コーヒー菓子」

都心部こそ、日本資産の再利用を!

最先端のビルや建物が並ぶ表参道にて、古民家の一室で営業するOMOTESANDO KOFFEEは少し特異でありながら、そのスタイルにとても注目を集めています。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 OMOTESANDO KOFFEE/オモテサンドウコーヒー (表参道)
味わいのある天井

OMOTESANDO KOFFEEは「可動式のキューブ型」という新たなコーヒーショップの形を作り出したのと同時に、古民家という日本の建築資産をうまく活用した大変参考になる例です。
表参道のような東京の中心地には、取り壊してしまうのが勿体ないような味わいのある古民家がまだまだいくつもあります。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 OMOTESANDO KOFFEE/オモテサンドウコーヒー (表参道)

都心部にある使わなくってしまった古民家をOMOTESANDO KOFFEEのように簡易的な形でカフェやショップ、ギャラリーなどとして再活用できれば、コストをさほど掛けずにそこは新たに人を呼び込む集客スポットに出来るでしょう。
そんな場所が生まれることでコニュニティが出来ていき、その地域は盛り上がっていくのではないでしょうか。

住宅街に佇む古民家ティーハウス「イングリッシュティーハウス ペコ」(根津)

住宅街に佇むティーハウス

千代田線根津駅から歩いて5分ほど。
所謂「やねせん」と呼ばれる、ちょいノスタルジックな雰囲気が人気のエリア。
お寺や神社、古民家も多く残っており、都心部の喧騒を忘れさせてくれる街並みがあります。

そこに、ひっそりと佇む古民家をリノベした素敵なカフェ「イングリッシュティーハウス ペコ(Pekoe)」。英国紅茶の専門店です。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)
一見、カフェが分からずに見過ごしてしまいそうな佇まい。

この「やねせん」エリアは古くからの家も多く、古民家を利用したカフェやショップ、レストランなどが数多く点在しています。休日は、それらを散策しながら「やねせん」を巡る人達も多いようです。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)
小さなお店の看板。センスの良さが伝わってきます

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)
こんな住宅街にあるので、うっかり通り過ぎてしまいそう

言問通り(ことといどおり)から一本入ったところにありますが、注意して探さないと通り過ぎてしまいそうなほど、住宅街に馴染んでいます。
お店に近づくと、雰囲気に合ったかわいらしい看板が迎えてくれます。

「洋」と「和」が見事に調和した空間

店内は、外観からは想像できないような空間に仕上げられています。
壁や床は古民家のまま使われ、家具はオーナーのセンスがひかるイギリスアンティークの机や椅子が中心に揃えられており、“和”と“洋”が絶妙にマッチしています。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)
古民家とイギリス家具が上手く調和された店内

席数は10席ほど。どの席も、椅子や机に個性的な表情があって魅力的。
壁は一面に広がる窓があり、陽の光をふんだんに取り込んだ店内は程良い自然な明るさです。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)
大きい窓から採光ばっちり。気持ち良い陽の光

足踏みミシン台を再生させたテーブルや古い絵本、チッカチッカと時を告げる古時計、窓辺などの随所に飾られた小物、そして窓の外に広がるイングリッシュガーデンなど、目を奪われてしまうところが盛り沢山です。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)
足踏みミシン台を再生させたテーブル。知る人ぞ知る“SINGER”の文字

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)
窓辺を彩る小物

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)
窓の外に広がるイングリッシュガーデン

ここまでくると、もう外とは別世界。
店内は、外部とは時間の流れが違った感覚に陥る不思議な空間です。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)
チッカ♪チッカ♪と心地よい音と時を刻む古時計

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)
窓辺の小物

一人で落ち着きたい時に

ほどよく静かで、時間の流れがゆ~っくりな「イングリッシュティーハウス ペコ」。

忙しさに追われて気持ちが落ち着かない時や、何か考えごとをしたい時は、古き良いイギリスのカフェにタイムスリップしたような店内で美味しい紅茶をいただいてリラックスしてください。
“すっ”と頭も心も上手く整理されそうです。

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)
紅茶はポットで。もちろん、香りも味も抜群です

【リノベ・古民家カフェ vol.4】 イングリッシュティーハウス ペコ(根津)
お店の外観。いい佇まいですね~

お店を出た後は、面白い発見や出会いが待っている「やねせん」エリアをブラブラと散策してみるのもオススメです。

駅舎の高架下リノベーションカフェ「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水)

70年の時を経て、生まれ変わった「万世橋駅」

1943年までJR中央線の神田~御茶ノ水駅間に、「万世橋駅」という駅がありました。

その「万世橋駅」駅舎の一部として使われていたレンガ造りでアーチが美しい高架橋が2013年9月、大規模なリノベーションを経て、当時の雰囲気を残しながらも新たな商業施設「マーチエキュート神田万世橋」として生まれ変わりました。

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】「マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水)
川沿いにそびえる見事な赤レンガの高架橋

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水)
70年前の面影を残す旧駅舎の階段が残っています

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水)
階段を上から見下ろすとタイムスリップしたかのようです

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】 「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水
当時の万世橋駅周辺を再現したミニチュア模型の街

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】 「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水
飲食店やショップが並んでいます

マーチエキュート神田万世橋の顔、「フクモリ」

「マーチエキュート神田万世橋」の中には飲食や物販などの11店舗が並んでいます。
その中でも、核となるショップが山形の自然が育んだ食材をいかしたカフェ兼定食屋の「フクモリ」です。

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】 「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水
フクモリの入り口

70年前の空気感を残しつつ、リノベーションした店舗空間

フクモリのエントランスは山形の食材や雑貨、外に抜けるスペースには家具や書籍、ファッション雑貨などの物販エリアになっており、客席はそのさらに奥に2フロアあります。

レンガの壁面に沿ったソファ席を含めたテーブル席がだいたい40席ほど。
高架下特有のアーチ状の天井は高く、窓も大きいので、とても解放感のある空間となっています。

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】 「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水)

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】 「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水)
物販エリア。書籍やファッション雑貨など

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】 「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水)
高架下特有のアーチ上の天井と70年前から残る赤レンガの壁

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】 「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水)
壁いっぱいに広がる窓。採光もバッチリです

お客さんの中心層は、秋葉原以外に神田や小川町も近いことから、30代~近隣のビジネスマン、OLの方々が中心といった感じでしょうか。
ランチタイムは山形の食材を使った定食。大人気でいつも満席です。

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】 「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水)

フクモリは2007年に東日本橋に1号店がオープンしました。
連日、多くのお客さんで賑わっている人気のカフェ兼定食屋さんです。山形県産の食材を活かした料理と日本全国から集められた種類豊富に揃うお酒。そして、温かみのあるお店の雰囲気が人気の秘訣です。

施設のリノベーションと、その空間を担うお店

「万世橋」という駅が閉鎖して70年。
その間に都心部には新しい施設が、数えきれないほど作られました。
そして、新たなに誕生した「マーチエキュート神田万世橋」。
その中の大きな空間を担うカフェ「フクモリ」。

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】 「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水)
夕刻のマーチエキュート万世橋

「マーチエキュート神田万世橋」が従来の商業施設と大きく違うところは、歴史的建造物に付加価値を加えて、新たに蘇らせたことです。
都心部には老朽化してきた施設も多く、リノベーションされることが増えていくと予想されます。

その際は、「フクモリ」のような人の集うカフェを誘致することで「マーチエキュート神田万世橋」のように、多くの人に再び愛される施設になっていくのだと思います。

【リノベ・古民家カフェレポートvol.2】 「フクモリ マーチエキュート万世橋」(秋葉原/お茶の水)
カフェメニューも豊富です