超豪雪地帯で、あえて冬季営業!秘湯・乳頭温泉郷「鶴の湯温泉」


超豪雪地帯で、あえて冬季営業!秘湯・乳頭温泉郷「鶴の湯温泉」日本が誇るべき伝統文化、温泉。
日本には火山が多いという、風土・地理的な要因もありますが、歴史をひもとくと日本書紀や万葉集の昔からも、人々が温泉を楽しんでいたと伺い知れます。

そんな温泉。行楽の秋に、これから温泉地へと旅しようとお考えのかたも多いのではないでしょうか。

人気の温泉地と言えば、規模の大きな温泉地ばかりの中、秋田県の山奥に湧く小さな温泉郷を、全国的な人気温泉地へと導いた、ひとつの温泉宿があります。

秋田県の十和田湖(とわだこ)周辺。遠くから見ると、女性の乳房に形が似ていることから、乳頭山(にゅうとうさん)と呼ばれている山があります。
この乳頭山麓に点在する8軒の温泉宿からなる温泉郷が「乳頭温泉郷」。
ブナの原生林に囲まれながら、湧き出たばかりの温泉に浸かることができる、大地の恵みに溢れた日本の秘湯です。

中でも、ひときわ山深い場所にあるのが「鶴の湯温泉」。
その昔、傷ついた鶴が、温泉の湯で傷を癒す姿を、秋田の猟師が見つけ、そのまま「鶴の湯」の名に残ったのだといいます。

 

超豪雪地帯での生活を体験

地元の人々から親しまれていたかつての乳頭温泉郷も、冬季は豪雪のために休業せざるを得ませんでした。

「豪雪」とひとくちに言っても、ただ雪が多いだけではありません。日本トップクラスの豪雪地で、乳頭温泉のある秋田県仙北市は、豪雪地帯の中でも特に降雪の多い特別豪雪地帯に指定されているのです。
特別豪雪地帯とは「積雪により、長期間自動車の交通が途絶するなど、住民の生活に著しい支障を生ずる地域」のこと。

そんな中鶴の湯温泉は、道路の確保のための除雪、インフラの整備など、多くの障壁を乗り越え冬季営業に踏み切りました。

今では「乳頭山の厳しい冬を味わう」というまたとない体験を旅人に提供しています。

 

土地の歴史・自然を守って

乳頭温泉は、江戸時代から続く「湯治場(とうじば)」。
農作業で疲れが溜まった農民、時には遠方から難病を抱えた人々を癒す場として培った歴史・文化があります。

中でも、ブナの原生林を分け入った所にある鶴の湯温泉は、日本の秘湯100選にも数えられる秘湯中の秘湯。山奥に隠された、ただならぬ雰囲気を持っています。

鶴の湯温泉は、その歴史ある風景と、周辺の自然環境を大切にし、電線や電話線の地下埋設、地形を生かした歩道や散策路の整備など、原風景を壊さず、昔ながらの「湯治場」や、山深くにある「秘湯」の雰囲気を醸し出す配慮がなされています。

大規模なリゾート施設や、人工的な近代的空間を提供するのではなく、乳頭温泉ならではの「原風景」「雰囲気」を体感することができる空間をあえて提供しているのです。

 

地元産へのこだわり

「鶴の湯温泉」本館の、築100年以上の建物「本陣」の修繕の際には、乳頭山の自然、風土、気候を知り尽くした大工が、地元の材木を使い、寒冷地仕様の暖かい建物をつくります。

鶴の湯温泉でいただくことのできる料理は、古より受け継がれてきた製法でつくる漬物や味噌を使い、地元の米や山菜を使ったもの。
あたたかく、健康的で安心・安全な「乳頭山の郷土料理」で旅人をもてなしています。

 

まとめ

土地の歴史・文化・自然を守り、あえて豪雪地帯で冬季営業することで、旅人に、その土地・その場所でしか体験することのできない特別な体験を提供している、乳頭温泉郷「鶴の湯温泉」。

今では、乳頭温泉郷の8軒の温泉宿の内、7軒が冬季営業をしており、スキー客をはじめ、温泉郷全体で年間約13万人もの観光客が訪れるほどの一大観光スポットとなっています。

場所に根付いた生活文化を大切にすることによって、地域の活性化に成功している乳頭温泉郷、鶴の湯温泉の取組みは、日本の温泉地の新たなモデルになることでしょう。
 

これから宿探しにをされる方に

温泉と料理にうるさい方が書かれた一度は泊まりたい有名宿 覆面訪問記“>「一度は泊まりたい有名宿 覆面訪問記」で、
1万円代で泊まれる宿としても紹介されています。

まだまだ寒い日々が続きます。
いっそ、もっと寒い豪雪地帯で温かい温泉と料理、
そして寒い土地で温かく迎えて下さる宿の方々に、癒されてみては如何でしょうか。
ぜひ、参考にしてみてください。

 

■参考資料「鶴の湯温泉ものがたり」

 

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