大分県佐賀関生まれの「関さば」。一匹あたり、2,000円~7,000近い価格がつく高級魚だ。
え?!あのサバが?!
そんな風に考えてしまう人もいるだろう。確かにサバは、かつて一匹200円程度で売られていた時代もあった。
しかし、「関サバ」は今やその数十倍の一級品として認知されている。
今回は「関サバ」がいかにして数十倍以上の高級魚になり、
大分県の漁港でなぜ「関サバ」というブランドが生まれたのかを、ご紹介しよう。
関サバとは?!
「関サバ」とは大分県漁業協同組合佐賀関支店の方が、1本つりで釣った真さばを指す。
サバ同様、真あじも「関あじ」と呼ばれ、今では一匹2000円~6000円の価格が付けられ、全国的に知れ渡っている高級魚だ。
料亭に裏ルートで取引された佐賀関漁港でとれた「サバ」
関サバとも呼ばれていなかった当時、佐賀関漁港で獲れたサバは一般流通で安値に取引されていた。
しかし佐賀関漁港で獲れたサバは、近くの料亭などに裏ルートで流れていたのだ。
しかも通常流通の10倍近い値段で。
顧客との直接取引を行うことで、ブランド化に成功
裏ルートで10倍以上の価値がついていたことに着目し、
漁業組合の方々は独自に都心に出向き品評会を開き、
一般流通を中抜きし、顧客との直接取引を積極的に増やしていった。
その結果、関サバの値段は味の肥えた料理人などが決める仕組みが出来上がったのだ。
値段は10倍以上になり、関サバは一躍ブランドとなった。
その後、「関あじ・関さば」の知名度が高まっていた反面、偽物が出てくるようになった。
そこで取り組んだのがブランドの保護。
商標登録の認可を受け、法的に知的財産としてその商品価値を守り、
この希少性がさらに関サバのブランド価値を高め、他商品との絶対的な差別化を図ったのだ。
お金が無くてもできる!味のこだわりと、口コミマーケティング
漁業組合の方々は直接取引でブランド化が確立した後も、
積極的なマーケティングやプロモーションには手を出さず、自然と広まる口コミに任せた。
むしろ商品価値を守ることに注力をしたのだ。
元々、関サバは、
- 生産性は低いが魚に傷をつけない「一本釣り」
- 年間を通じて脂肪の変化が少ないことから刺身には適度な脂肪量
- 鮮魚が落ちず、余計なストレスがかからない「活け締め」による出荷
- 重さを量ることなく水面の魚を見て大きさや重さを判断する「面買い」による売買
このような取り組みを行っていた。
これが広告宣伝にもなって、「関あじ・関さば」のブランド力は、ますます力をつけ、
その結果、「関あじ・関さば」の価格は上昇し、一匹2,000円~7,000円の地位を確立したのだ。
顧客との直接取引でブランド化に成功
以上のように漁業組合の方々は、関サバという商品価値を守り、
それを確かな価格で市場(顧客)と直接取引したことで、ブランド化に成功した。
昨今は有名人やキャラクターを使ったプロモーションやマーケティングで、
何とか地域資源をブランド化しようとしている。
一過性のプロモーションやマーケティングに依存した地域ブランド化は時に、
いっときメディアにもてはやされるが、ブームが去った途端に地方はまたシャッター街に。
しかし今回ご紹介した関サバのように、商品が本来持つ価値を守り、
プロモーションではなく、流通構造に着目してブランド化に成功した。
低価格で叩かれている地域の食そして衰退していく食文化に光を与える取り組みといえる。
■大分県漁業組合佐賀関支店
http://www.sekiajisekisaba.or.jp/
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