ひとつひとつ、その土地の文化や歴史を見つめていく中に、地域づくりのヒントが隠れているのかもしれません。
今回、その土地ならではの特性を活かし、地域を活性化させようとする取組みとして、取り上げるのは、
神戸フィルムオフィス。
神戸の特性を活かし、まちに映画やドラマ撮影の誘致をすることで、地域経済の活性化を促進させる「フィルムコミッション」という取組みです。
神戸フィルムオフィスは、2000年に設立された、「フィルムコミッション」と呼ばれる、映画・テレビドラマ・CMなどのロケーション撮影を誘致し、実際の撮影をスムーズに進めるための諸手続を行う非営利の公的機関の1つです。
フィルムコミッションの主な業務は、以下に挙げるもの。
・映像作品の制作者へ情報提供。
・撮影候補地の案内。
・地元警察や関係機関、住民との交渉、各種申請手続きを代行。
・宿泊施設、ロケ弁当、美術装飾、エキストラの手配。
・撮影スケジュールの確認。
・市民、観光客へのPR。
大規模な映画の撮影ともなると、道路を封鎖したり、地下鉄などの公的交通機関を使用したりと、地元住民や、警察等との交渉が必要になります。
人々の感動を呼ぶ、映画・ドラマの制作を影で支える、まちの公的機関、それがフィルムコミッションです。
神戸の風土を活かして
神戸は、人口154万人を抱える近代的大都市であると同時に、海や山などの自然、今も残る歴史的な街並みなど、景観に恵まれた土地。
ロケ地として選ばれるのにふさわしい場所が、コンパクトに集まっているまちと言えます。
また、神戸空港をはじめ、関西国際空港や大阪国際空港といった大きな空港が近いこと、その他船舶や鉄道などの交通アクセスが非常によい環境にあり、
セットや、撮影に必要な機材などを運び込みやすいといった、映画やドラマの撮影に適した条件が揃っています。
このように、神戸フィルムオフィスは、神戸の持つ土地の優位性を活かして、フィルムコミッション活動をしています。
日本で初の映画上映の地、神戸
明治時代になってから、日本に多くの外国文化が神戸港を通して伝えられましたが、映画文化もそのうちの1つ。
1896年(明治29年)11月に神戸市で公開された映画が日本初の上映でした。
神戸フィルムオフィスのフィルムコミッションは、神戸という土地の伝統・文化を継承した取組みということができます。
公開当時の映画は、「のぞきカラクリ」と呼ばれた、「キネトスコープ」。
大きな箱を上から覗くようにして、映画を楽しみました。
「ロケ地」という観光資源にも
劇中で上映されるシーンはたったの数分間でも、撮影までの準備や実際の撮影には、数ヶ月を必要とすることもあるというから、フォルムコミッションの業務は時に大掛かりなものになります。
時には長く滞在することもあるロケ隊が利用する宿泊施設や、飲食などの直接的なまちへの経済効果としては、設立からこれまでに約1億2千万円もの効果を産み出しているそうです。
また、映像作品の「ロケ地」という観光資源による、長期的な経済効果も望むことができます。
多くの映像作品の舞台となった、旧居留地の街並み。
まとめ
神戸の風土・文化を活かし、まちに映画やドラマ撮影の誘致をすることで、地域経済の活性化を促進させる取組みを行う、神戸フィルムオフィス。
神戸フィルムオフィスがこれまでに関わった作品は、映画140本以上、テレビドラマ120本以上を含む約2000本ものにも上るそうです。
一度は、神戸で撮影された作品を目にしているかもしれません。
神戸だけではなく、全国各地の自治体に、それぞれの地域の良さを伝えるフィルムコミッションがあります。
地域の良さをスクリーンの世界を借りて外部へ発信でき、地域の経済効果も期待ができる、そんな一石二鳥の地域活性化の取組みですね。
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