お城からまちづくり!3年で5億円以上を集めた熊本城「一口城主制度」


お城からまちづくり!3年で5億円以上を集めた熊本城「一口城主制度」日本三大名城であり、熊本の象徴、熊本城。
最近は熊本と言えば「くまもん」の話題でいっぱいですが、なんと熊本城には15年も続く「一口城主制度」と言われる、クラウドファンディングな取り組みがありました。

今回はこの「一口城主制度」をまちづくり的な観点からご紹介します。

今では、立派なランドマークとなっていますが、つい60年ほど前までは、そのほとんどが焼失していました。

別名、「銀杏城」と言われる熊本城を目当てに、毎年国内外から多くの観光客が訪れています。
しかし、つい60年前、お城のほとんどが明治時代に起きた西南戦争によって焼失してしまい、
今の姿はありませんでした。そこで1997年、焼失した熊本城を元の姿に戻そうと声が上がり、
復元事業が始まりました。

 

熊本城復元プロジェクトの基本方針は3つ。

  1. 「歴史的建造物の復元と保存」
    熊本城に残された絵地図や古文書をはじめとする多くの資料を生かして、
    史実に基づいた歴史的建造物の復元・保存を行うことにより、歴史遺産としての価値を高める。
  2. 「都市の潤い空間としての環境整備」
    「森の都」の拠点として、また都市のオープンスペースとして、熊本城の原風景を守り育てるとともに、豊かな緑の景観を育成する。
  3. 「サービス空間の創出」
    史跡としての価値に配慮しながら便益施設を充実させるとともに、歴史、文化を体験・学習できる場として整備する。

これらの方針に基づく、復元事業を実現するための資金を集める手段として作られた制度が「一口城主制度」。
一口一万円で、誰でも熊本城主になれるというシンプルな制度です。

今でこそ「READYFOR?」や「CAMPFIRE」、「MotionGallery」などクラウドファンディングを通じて個人や団体の様々なプロジェクトを支援することができるようになり、一般にもその言葉が広まりつつありますがそれを15年前から継続して続ける、「一口城主制度」とは一体どんな支援のカタチだったのでしょうか?

必要資金を持続的に集める

寄付をした人の名前が熊本城天守に据え付けられる芳名板に永久に刻まれる、という特典も評判で、1997年から10年間で、県内外約27,000人から総額12億6000万円の寄付が集まりました。大手門や、4つのやぐら、本丸御殿の大広間が修復され、もとの姿に近づいた熊本城。

2009年には「新一口城主制度」が新たにスタートし、10年間で7億円を集めることが目標となっていますが、3年経った2012年8月現在、41,775件から、既に5億円以上もの資金が集まっています。

まちづくりのために必要な資金を、完全に補助金に頼るのではなく、全国から小口資金を集めることにより、より持続的な資金集めをしています。

城主の来城によって入場者数増加、日本で第一位に

この制度によって、県外からも多くの「城主」が自分の城を見学に、熊本城を訪れています。

2008年には、熊本城入場者数が200万人を超え、当時、日本の城の入場者数で第1位になりました。

また熊本城が美しく復元されたことにより、熊本観光の目玉になり、観光地として、多くの観光客を呼び込みことに成功しました。

 

熊本に住む人の誇りに

熊本に住む人が、自分の地域の城を気軽に応援できて、オーナーシップを持てるこの制度は、目には見えない、熊本に住まう人の地元への誇りを更に強めることになります。

地元に住む人に愛されるランドマーク、まちを創るという側面も持ち合わせた制度となっています。

 

まとめ

まちづくりに必要な資金を集め、まちに人を呼び、さらに熊本に住む人の誇りを取り戻す、一石三鳥の「熊本城一口城主制度」。

何か大きなイベントを行うなど、その場限りの取組みではなく、10年以上も持続的に行われている取組みであることは、特筆すべき点です。

この「一口城主制度」はパッケージ化され、福井県の小浜城や京都府の二条城、愛知県の名古屋城などに輸出され、全国に広がっています。

 

 

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