ニュースを賑わしている火山でも、御嶽山、桜島や箱根山などがあり、近年噴火を耳にする事が増えてきた。
今回は、活火山の定義の歴史や、現在監視が必要な活火山についてご紹介する。
噴火記録がないのに活火山!そもそも火山って何?
日本列島は環太平洋火山帯の中にあるため、世界一の火山大国として知られている。
日本の国土面積は世界の0.25%を占めるに過ぎないが、その狭い国土に、全世界の1割近くの火山が有るのだから、日本が火山大国と言われるのもうなずけるだろう。
そもそも火山とは、地下深くに有るマグマが、地殻の裂け目から地表に噴出して形成された山が火山である。
最近では、2014年9月に木曽の御嶽山が突然噴火し、多くの人命が奪われるという事故があったばかりだ。
だが一方で、火山からは恩恵を受けている。火山は美しい風景を演出するばかりではなく、各所に温泉を湧出させ、観光や保養に役だっている。
なだらかな山の斜面は、スキーやゴルフなどのレジャー基地になっており、農業にも活用されている。最近では、地熱発電にも利用されているのである。
活火山の定義を変えた、1979年の御嶽山の噴火活動
かつては火山を活火山、休火山、死火山の3種類に分類していた。
現在も活動している火山が活火山で、過去に噴火の記録はあるが現在は活動していない火山を、
休火山、有史以来、噴火の記録がない火山を死火山として分類していた。
しかし、死火山に分類されていた北海道の雌阿寒岳(めあかんだけ)が、1954年に噴気活動をはじめ、
1979年には死火山だった死火山だった御嶽山が、有史以来の噴火を記録し、2014年の噴火は多くの犠牲者を出してしまった。
数十万年という火山の寿命に比べれば、人類の有史はほんの一瞬にすぎず、
この分類法は無意味であるとして、現在は死火山、休火山という用語は使われなくなった。
そして活火山の定義も改められた。
活火山に対する考え方は、1950年だから世界的に見直されつつあったが、
火山噴火予知連絡会では、1975年、噴火の記録がある火山、および現在活発な噴気活動のある火山を活火山と定義し、77の火山を活火山とした。
ますます増えていく活火山
さらに1991年には、活火山の定義を過去およそ2000年以内に噴火した火山、
および現在活発な噴気活動のある火山に改めた。これによって活火山は77から83に増え、1996年に3火山が追加されて86になった。
しかし、数千年もの間、噴気活動のなかった火山が噴気活動をはじめた事例もあることから、
過去2000年では不十分だとし、2003年から活火山の定義をおおむね過去1万年以内と改めた。
これにより活火山の数は108に増え、2011年には100になった。
監視が必要な活火山とは?!
監視が必要な活火山は47。火山爆発を事前に察知し、被害を最小限に食い止めなければならない。
火山噴火予知連絡会では、今後100年ほどの間に噴火の可能性があると思われる47の活火山を、
火山防災のために関し・観測体制の充実等が必要な火山と指定した。
一覧は最下部に。
気象庁では、これらの火山に地震計や傾斜系、空振系、GPS観測装置、望遠カメラなどの観測施設を整備。
噴火の前兆をいち早く確認するため、火山活動を24時間体制で常時観測・監視して災害を未然防ぐことを目的に体制を用意している。
このように万全の体制を整えていたはずだが、残念ながら御嶽山の火山噴火を予知することができなかった。
火山の噴火には、マグマが直接噴出するマグマ爆発と、地表近くに有る地下水がマグマに熱せられて噴出する
水蒸気爆発がある。マグマ爆発はある程度の余地は可能だが、水蒸気爆発は予兆を掴むことが難しいという。
御嶽山の噴火は後者だった。そのため噴出する寸前まで、火山爆発を察知することが出来ず、
死者57名、行方不明6名という大きな被害を出すことになってしまった。
近年、噴火活動を繰り返している火山(23火山)
・過去数十年程度の間、頻繁に噴火している
・100 年以内の間隔でマグマ噴火を繰り返している
火山
雌阿寒岳
十勝岳
樽前山
有珠山
北海道駒ヶ岳
秋田焼山
秋田駒ヶ岳
吾妻山
那須岳
草津 白根山
浅間山
新潟焼山
焼岳
御嶽山
伊豆大島
三宅島
硫黄島
阿蘇山
霧島山
桜島
薩摩 硫黄島
口永良部島
諏訪之瀬島
過去 100 年程度以内に火山活動の高まりが 認められている火山(18火山)
・地震活動:過去 100 年程度の山体浅部の地震活動 (マグマの動きに関連したものなど)
・地殻変動:過去 10 年程度のマグマ貫入等に伴う地殻変動
・噴気活動/地熱活動:過去 100 年程度の活発な噴気活動、地熱活動
火山
アトサヌプリ
大雪山
恵山
岩手山
栗駒山
蔵王山
安達太良 山
磐梯山
日光白根山
乗鞍岳
白山
箱根山
伊豆東部火山群
新島
神津島
八丈島
鶴見岳・ 伽藍岳
九重山
現在異常はみられないが過去の噴火履歴等 からみて噴火の可能性が考えられる(4火山)
火山
岩木山
鳥海山
富士山
雲仙岳
予測困難な突発的な小噴火の発生時に火口 付近で被害が生じる可能性が考えられる(2火山)
火山
倶多楽
青ヶ島