熱海の食材で心と体が元気になるカフェ「KICHI+/キチプラス」(熱海)

駅すぐ近くの商店街にたたずむ癒いの場

駅の改札を出ると、目の前には足湯。ズボンの裾をまくりあげた子どもや若いカップル、お年寄りの笑顔が飛び込んできます。
そう、ここは熱海。日本を代表とする温泉街です。

【リノベ・古民家カフェvol.52】「KICHI+」(熱海)

駅すぐ近くにある仲見世商店街と平和通り商店街は、連休ともなると食事やお土産を求める観光客でにぎわいます。仲見世商店街を入ってすぐ、周りのお店に溶け込むようにたたずむのが「KICHI+」です。

【リノベ・古民家カフェvol.52】「KICHI+」(熱海)

日差しが優しく差し込む店内へ入ると、白壁と木の家具が配置されたナチュラルな雰囲気が広がっています。
訪れた日は月曜日のちょうどお昼時。店内はほぼ満席で、小さいお子さんを連れたご家族やお友達同士が、お食事をいただきながら、おしゃべりに花を咲かせていました。

どこか懐かしさを感じる空間と、地元の旬食材で心と体が元気になるお食事

店員さんに「2階の席でお好きな席へ…」と案内され、階段を上ると1階とはまったく違った雰囲気の部屋が現れます。

【リノベ・古民家カフェvol.52】「KICHI+」(熱海)

KICHI+は築60年以上の果物屋をリノベーションして作られました。1階は仕切りのない解放感あふれる空間。一方、2階は柱や壁、ふすまで仕切られたいくつかの部屋があります。ここが果物屋だったころ、2階にはお店の人が生活していたのかもしれません。

手前のギャラリーを抜けると木の家具が配置されたおこもり感のある空間が広がります。

【リノベ・古民家カフェvol.52】「KICHI+」(熱海)

2階は4人掛けが4卓、2人掛けが1卓と計18席ほどで、広々と贅沢な空間。テーブルやイスは席によってデザインが異なり、どこに座ろうか迷ってしまいます。

実は、こちらの家具はイギリスのアンティークを扱うKENT ANTIQUESのもの。「修理することを考えて修理する=循環」をコンセプトかかげるKENT ANTIQUESは、多くの家具職人が定住する静岡を拠点に、家具を修理・販売しています。

【リノベ・古民家カフェvol.52】「KICHI+」(熱海)

KICHI+は、木のフローリングに改装された和室とアンティーク家具が調和し、懐かしさの中にも洗練された上品な雰囲気。いつまでもいたくなるような居心地の良さです。

また、地産池消のフードメニューも大きな魅力。
食材のほとんどが熱海や伊豆の地元産。夏の献立には「薬膳」という言葉はないものの、熱を発散させ、熱バテ防止に効果がある旬食材が多く取り入れられています。
食材のうまみがしっかり感じられるやさしい味で、ゆっくり噛みしめながらいただきたくなります。

【リノベ・古民家カフェvol.52】「KICHI+」(熱海)

デザートもすべてお店の手作り。
写真はヨーグルトムースレモンカード入りで、甘酸っぱいレモンの薄切りが中に入っています。まったり濃厚なムースとレモンの甘酸っぱさが絶妙なバランス!

【リノベ・古民家カフェvol.52】「KICHI+」(熱海)

ドリンクは、ソフトドリンク500円~、コーヒー450円~、ビール550円~。
お食事は、丼もの1000円~、ランチ1100円、桜エビとしらすピザトースト650円、デザート250円~など。
ほっとできる空間と、静岡産の旬食材ごはんで、身も心も元気になれるお食事&休憩処です。

熱海にカフェを作ったオーナーの想い

「熱海になぜ、カフェを作ろうと思ったのですか?」オーナーに尋ねると、こんな回答が返ってきました。
「熱海には純喫茶は多くあったけど、カフェがなかったんです。熱海には若い人も多くやってくるけど、マクドナルドなどに集まっていて…。だから若い人が楽しめる場所を作りたかったんです。」

今や、若い人だけではなく幅広い世代が憩う、KICHI+。
体を気遣った料理、リノベーションして生まれたお店、長く使われているアンティーク家具。人とものを大切に想っているオーナーやスタッフが、この居心地の良さを生み出しているのでしょう。

【リノベ・古民家カフェvol.52】「KICHI+」(熱海)

【リノベ・古民家カフェvol.52】「KICHI+」(熱海)

ほっと一息つきながらも静岡らしさと人のぬくもりを感じられるKICHI+で、身も心もエネルギーを満タンにして、旅の続きを楽しんではいかがでしょうか。

Text By Kanami Niiyama

温泉街"熱海"にある古民家カフェ「カフェキチ/CAFE KICHI」(熱海)

静岡県を代表するリゾートといえば“熱海”。温泉やビーチはもちろん、樹齢2000年を超える大木や新鮮な魚介など、自然からの恵みを体感できるスポットで、毎年多くの観光客で賑わいます。

今日も、駅前のタクシー乗り場を抜けると、レトロな雰囲気が漂う仲見世商店街は大盛況です。
この通りをまっすぐ進むと、もう一つの平和通り商店街につながる路地が。

【リノベ・古民家カフェvol.48】「CAFE KICHI」(熱海)

活気のある商店街の雰囲気とは一転。古い民家が連なる中にひっそりとたたずむのが、CAFE KICHIです。
あまりにも周りに溶け込んでいたため、気付かずに通り過ぎてしまいました。

【リノベ・古民家カフェvol.48】「CAFE KICHI」(熱海)

ダンディな雰囲気の店内と充実のカフェメニュー

年期の入った重厚なドアを開けると、かわいらしい店員さんが出迎えてくれました。
CAFE KICHIは1階に3卓と、2階に4卓あり、隣の人の話し声が特に気にならないくらいゆったりとしたスペースが確保されています。

【リノベ・古民家カフェvol.48】「CAFE KICHI」(熱海)

店内の赤茶色の砂壁、歳月の経過を感じる味のあるテーブル、小さなランプがふんわり照らす店内。
落ち着いたあたたかみのある雰囲気です。

2階につながる階段を上ると…日が優しく差し込む明るい空間が広がっています。

【リノベ・古民家カフェvol.48】「CAFE KICHI」(熱海)

【リノベ・古民家カフェvol.48】「CAFE KICHI」(熱海)

一卓一卓のスペースは、布でゆるりと仕切られ、どの席についても一人の時間や仲間たちとの時間を堪能できそうです。

気になるメニューはというと…

コーヒー6種510円~、アレンジコーヒー5種620円~、紅茶9種類、ソフトドリンク4種510円~、その他アルコール、お店自慢のスイーツ、軽食(季節で変わる野菜のキッシュ、桜エビとしらすのピザトースト)など…すごく充実しています。

そして、メニューの食材は、ほとんど地元静岡で採れるものを使うというこだわり。

【リノベ・古民家カフェvol.48】「CAFE KICHI」(熱海)

注文して出てきたのは、取っ手のない器に入ったカフェオレ。
器を両手で握ると感じるのは、じんわり伝わってくる温かさと、やさしい陶器のさわり心地。一口飲めば、ほっと心が休まる瞬間がやってきます。苦みがなく、ミルク感の強いまろやかな味わいで、苦いコーヒーが苦手な方には特におすすめ。

【リノベ・古民家カフェvol.48】「CAFE KICHI」(熱海)

【リノベ・古民家カフェvol.48】「CAFE KICHI」(熱海)

一方、女性の店員さんのおすすめは、香りが良いモカブレンド、フレンチローストだそう。「レアチーズケーキやスコーンと合わせていただくのが好きなんです」と、ステキな笑顔で答えてくださいました。もともとCAFE KICHIに客として訪れ、大好きになってしまいアルバイトを始めたそうです。

新しい静岡の魅力

CAFE KICHIは築30年以上経つ古民家をリノベーションして作られました。このカフェのオーナーは「純喫茶しかなかった熱海に、若い人も楽しめる場所を作りたい」という想いでCAFE KICHIをオープンさせたそう。

実は、姉妹店であるKICHI+KASHI KICHIのオーナーでもあります。これら3つのお店のリノベーションを手がけたのは、オーナーの知り合いだった藤原慎一郎さんのデザイン事務所、ケンブリッジの森です。藤原慎一郎さんは静岡県沼津市出身で、沼津に事務所を構えるほど沼津を愛している方。

カフェの内装だけでなく、廃材を利用して作られたテーブルやチェア、曲線が美しい木の花の照明などのデザインも手掛けたそうです。

【リノベ・古民家カフェvol.48】「CAFE KICHI」(熱海)

静岡の食材を使ったメニュー、そして静岡を愛する人が作り上げ、営なんでいる「CAFE KICHI」。ここでは、温泉やビーチなどの観光で感じる静岡らしさだけでなく、静岡の人のぬくもりとつながりを感じることができます。

【リノベ・古民家カフェvol.48】「CAFE KICHI」(熱海)

「遠目なら…」と写真をOKしてくれたシャイな店員さんたち。
彼らと話すと、熱海の新しい魅力を発見することでしょう。

Text By Kanami Niiyama