元薬局をリノベーションした古民家カフェ「こぐま」(曳舟)


元薬局をリノベーションした古民家カフェ「こぐま」(曳舟)東京スカイツリーのお膝元にある曳舟駅。東京スカイツリーを背に約5分歩くと、狭い路地にある鳩の街通り商店街が見えてきます。この商店街の周辺は東京大空襲を逃れたため、昭和初期の木造建築が残されています。

通りには、伝統のある店だけでなく、リノベーションした店も並び、懐かしさと新しさが感じられる雰囲気が漂っていました。

【リノベ・古民家カフェ No.95】「こぐま」(曳舟)
保育園を過ぎたあたりで、一際レトロ感の漂う建物が見えてきました。ここが今回ご紹介する、昭和レトロな商店街にたたずむ古民家カフェ「こぐま」です。

「こぐま」(曳舟駅)
圧倒的な存在感。外観は人の手が加わっていない独特の古さが残っていて、威厳すら感じます。それをほどよく和らげているのがお店の看板。「こぐま」という白い字とシルエットがかわいらしいです。

懐かしさとぬくもりを感じる空間と、お二人様限定の特等席

お店の中に入ると雰囲気は一変。古い洋楽のBGMが流れ、優しい明かりに包まれた心落ち着く空間が広がっています。

年期の入った学習机と椅子がなんとも懐かしい。
これらは、学習塾を営んでいた、店主の旦那さんのご実家から譲り受けたものだそうです。使い込んでできた自然な擦れがカフェの雰囲気とマッチしています。

【リノベ・古民家カフェ No.95】「こぐま」(曳舟)
店内は14席あり、隣の席と近すぎずほどよい距離です。入り口に近い席は仕切りのないオープンな席ですが、店の一番奥には間仕切りと本棚で囲まれたステキな特等席が。

【リノベ・古民家カフェ No.95】「こぐま」(曳舟)
後ろの本棚に並ぶ本の種類は、小説、エッセイ、漫画、生き物図鑑などかなり幅広いラインナップ。一人の読書タイムを堪能することもできる贅沢な席ですね。

“元薬局”を活かしたインテリア

ご夫婦で営んでいる「こぐま」は、築88年の元薬局をリノベーションした古民家カフェで、店内の至るところに薬局の名残が感じられます。

【リノベ・古民家カフェ No.95】「こぐま」(曳舟)
こちらの本棚は、もともと薬局に備え付けられていた薬品棚だったそう。棚の引き出しからは、当時の薬がたくさん出てきたそうで、中には現存しないメーカーの薬もありました。

オリジナルのカフェメニューとこだわりの陶器

ドリンクメニューは30種と、かなり充実しています。キンモクセイ茶やあずきラテ、りんご牛乳などのめずらしいドリンクや、サイダー工場とコラボして誕生した、こぐまサイダーもあります。

「こぐま」(曳舟駅)
自家製ケーキのメニューは季節ごとに変わるそう。ショコラとコーヒーのタルト、あんみつ玉など、魅力的な創作スイーツはどれも気になります。

悩んだ結果、この日はオリジナルのこぐま珈琲と、キャラメルチャイのシフォンケーキをいただきました。コーヒーはほろ苦くさっぱりしており、とても飲みやすいです。シフォンケーキはふわふわな食感で、キャラメルとシナモンの香りが口いっぱいに広がりました。

「こぐま」(曳舟駅)
カップとソーサーにも“こぐま”が。こちらは、店主の旦那さんがデザインしたオリジナルです。かわいらしくて、心がほっこりします。

この地にカフェを開いた意外な理由

ご夫婦が向島に住んだきっかけは、カフェを開くためではなく、“演劇づくり”のため。もともと劇団で演劇活動をされていて、向島を舞台にした作品を作るために移住したそう。

ただ住むのではなく、人の集まるオープンな場にしたいと思い、カフェを開いたそう。ご夫婦は「カフェを営むうちに、演劇より楽しくなってきたんです」と話してくださいました。

「こぐま」(曳舟駅)
伺った日は、ご近所に住む3人の方がお茶をしに来ていました。店主の旦那さんとの世間話はとても楽しそう。みなさんの気さくな人柄も手伝って、いつの間にか私も話に加わっていました。初めてお会いする方ともすぐに打ち解ける雰囲気が「こぐま」にはあります。ご夫婦の「オープンな場にしたい」という想いは、今でも大切にされているのを強く感じたひとときでした。

「こぐま」(曳舟駅)
「こぐま」(曳舟駅)
情緒あふれる鳩の街通り商店街を散策して、こぐまで休憩するのがおすすめコース。一人の贅沢な時間を過ごしたいとき、誰かとたわいのない話をしたいとき、こぐまでのんびりした時間を過ごしてはいかがでしょうか。

Text by Kanami Niiyama