都道府県別の過疎と過密はどう進行したのか?


都道府県別の過疎と過密はどう進行したのか?2014年の日本の総人口は、1億2695万人。
国勢調査で見ると、1920年に実施された第1回国政調査から、第19回実施された2010年(平成22年)を比べてみると、5596万人から1億2806万人へと約2.3倍に増加しているが、ここ最近の2005年からは横ばいで推移している。


その中でも人口の増加率は都道府県でとても地域差がでています。
第一回国勢調査から第19回までの90年間、人口が約5倍以上にまで増加した府県がある一方で、
ほとんど増加しなかった府県もある。過疎と過密がどのように進行していったかを見て行きたい。

人口増加率日本一は、神奈川県

日本の人口の増加率が最も高かったのは、住みたい街ランキング上位の場所を数多く持つ神奈川県。
1920年の人口が132.3万人であったのに対し、2010年の人口は904.8万人で増加率は6.8倍にも達する。

埼玉県は5.5倍、千葉県4.7倍、東京都3.6倍、愛知県3.5倍、大阪3.4倍で高い増加率を記録しています。

明治時代、島根県と神奈川県の人口は同程度だった

一方で、地方では人口増加率が極めて低く、島根県は90年間に2,000にんあまり増加しただけ。
明治26年、1983年の島根県の人口は70.1万人で、神奈川県の人口は76.0万人、両県の間にほとんど人口差がなかった。

しかし、2010年の国勢調査では、島根県の人口は神奈川県の7.9%にすぎない。
大正、昭和、平成を通して、いかに日本の人口分布に偏りが出来てきてしまったからがわかる。

人口分布は、ここまで偏りが出来たのはいつか?

神奈川県の人口推移を見てみると、日本が高度成長期に入った1960年代から急激に人口が増加している。
地方から首都圏に人口が凄まじい勢いで移動したことを物語っている。

日本の人口が1920年比べて約2.3倍増加しているのだから、島根県も同じように増加としても不思議ではないが、ほとんど人口の増減がなかった。

第1回国勢調査の人口を下回った唯一の県

第20回前の、2014年の調査では、島根県の人口はついに70万人を割り込み、69.7万人を記録。
第1回国勢調査の人口を下回ってしまった。当時の人口を下回ったのは全国で、唯一島根県だけである。
1955年のピーク人口の92.2万人比べると、約25%も減少ししてる。
また同じ、山陰地方の鳥取県は、45.5万人から57.4万人と12万人程増加している。

人口が減少した最大の原因は、高度成長期に神奈川県など大都市圏で急激に人口が増加したのと対照的に、
島根県には特に大きな産業がなかったため、労働力人口が都市部へ流出してしまったからである。

島根県は定住促進政策に取り組んできたが、人口減に歯止めをかけることが出来なかった。
このままのペースで人口減少が続けば、2040年代には島根県の人口が50万人も割り込み、
鳥取県にも抜かれて全国で最小の県になる可能性さえもある。

毎年増え続けている限界集落とは

少子高齢化が進めば必然的に人口は減少し、それに反比例して過疎地が増える。
日本の人口は2008年をピークに減少に転じたが、大都市圏では依然として人口の増加が続いており、
東京、大阪、名古屋の三大都市圏だけで日本の総人口の50%以上を占めている。

大都市圏と地方との人口格差一段と拡大しているのだ。
過疎化対策は少子化対策とともに、日本が抱える大きな社会問題になっている。

全市町村の46%以上が過疎地域

過疎地域は山村や離島など人口の希薄な地域ばかりではなく、地方都市の周辺にまで拡大しつつある。
過疎地域とは、人口の減少が続くことにより、教育や医療、消防など、地域社会の機能が著しく低下している地域をいう。

これといった産業が無いため、若者は仕事を求めて都市部へ流出してしまう。
結果として少高齢化が進み、その地域は活気を失う。結果、財政力が弱まり、行政サービスも低下している。

過疎地域に指定されている市町村数は全国で797あり、全市町村の半数に近い46.4%もの市町村が過疎地域に指定されているのだ。

過疎地域にないのが都道府県は、神奈川県だけ

過疎地域に指定されている市町村がまったくないのは神奈川県だけである。
これまでは、大阪府も過疎地域に指定された市町村がなかったが、2014年4月から千早赤阪村が新たに指定された。
東京都にも奥多摩や伊豆諸島などに過疎地域を抱えている。

北海道では全市町村の83.2%にあたる149市町村が過疎地域に指定されている。
関東地方の12.6%に比べると、北海道の比率は際立っている。

超限界集落もある

過疎地域に指定された市町村には全部で6万2271の集落があるが、
そのなかには人口の50%以上が65歳以上の高齢者で占める限界集落に陥っているところが少なくない。

なかでも、住民の全員が65歳以上の集落を「超限界集落」といい、
いずれ消滅するとみられている集落は、限界集落の3分の1以上を占めており、日本の過疎化問題が深刻になっている。