今回はメロンといえば、と言っていいほど日本中の多くの方が知っているブランドである「夕張メロン」と夕張市を取り上げます。
夕張メロンとは
夕張メロンとは、赤肉と高品質が特徴の、最高級のメロンです。
夕張メロンの種は、夕張市農業協同組合の金庫に厳重に保管、徹底した栽培方法で栽培、厳格な品質検査に合格したものだけが「夕張メロン」を名乗ることが出来、その名は夕張市農業協同組合の登録商標となっている。隣接する市町村産では、夕張の名を冠することはできない。
品種名は「夕張キングメロン」で「スパイシーカンタロープ」を父、「アールスフェボリット」を母として作出された赤肉のネットメロン(マスクメロン)。
夕張メロンは、なぜ高額で落札されたか
夕張メロンを有名にした最大のイベントは、最初にせりにかけられる一個目のメロンの値段。
2007年の落札価格は2個で200万円でした。このせりで高価な値段がつくと、新聞やテレビで報道され、またそれを札幌の丸井今井デパート仲卸を通じて200万円で落札したことで話題を呼びました。そのメロンを店頭に展示することで売り場に対してもアイキャッチになるということで丸井今井にもメリットがあり、また高額落札されることで、夕張メロンは高品質であることが一躍有名になりました。
丸井今井にとってもこれは100万円の夕張メロンを落札すると、テレビやメディアに掲載されます。メロン自体は100万円と高額に見えても、
広告宣伝費と考えれば100万円の投資は安いものです。ひとつの商品としての利益は度外視、1個100万円のメロンを落札したのは広報戦略としては有効です。
夕張メロンを持ってして、なぜ夕張市は発展しなかったのか
ただ夕張メロンは赤肉のメロンの代表格ですが、ほかの赤肉メロンと差別化し、ビジュアル的に他に模倣されないようにするためにも早いうちに商標登録は、当時の法律では認められませんでした。
また、夕張メロンはメロンそのものの市場は大きいですが、関連商品の市場はそれ以上です。
例えば、夕張メロンゼリーや夕張メロンキャンディーなど関連菓子の市場は数百億円程度と言われていましたが、
それらの工場の多くは夕張市以外にあったことが、夕張市発展に寄与しなかった所以の一つです。
せっかくの「夕張メロン」というブランドを活かしきれなかったのです。
夕張メロンを使わずに、ヤミ再建問題やテーマパークなどのリゾート施設への過剰投資、ホールなどの箱物をどんどんと作り、負担となってしまいました。
地域ブランドの有効的な活用と、次なる投資が地域活性化のカギ
莫大な投資が必要なリゾート施設による観光開発ではなく、夕張メロンを主役にした産業構造をまず構築し、次代への投資資金を作ることが大切だったと考えています。
単に商品に地名を付けたものを販売するのではなく、関連商品の工場を市内につくり雇用を作る。
ただ、夕張メロンが売れなくなったらどうするのか?
夕張メロンのブランド力の低下や、それに伴う夕張メロンの関連商品が売れなくなった時のためにも、工場機能や人を育てることが、まちづくりには大切です。
なぜなら、夕張メロン単発で勝負した場合、それがコケた場合、町の死を意味するからです。
一発芸人と同じく、ヒット商品はジレンマを既に持って生まれることを理解して、次の戦略を取る必要があります。
夕張メロンとして夕張市を成長させつつ、次代のヒット商品の企画もしくは産業構造を作っていくことが必要だったのかもしれません。