逃げ出す街から逃げ込める街へ 森ビルの防災まちづくり


逃げ出す街から逃げ込める街へ 森ビルの防災まちづくり9月1日は、「防災の日」でした。
1921年9月1日に発生し、甚大な被害をもたらした、関東大震災にちなんでいます。

今回は、世界有数の大都市として多くの人や企業を抱える東京から、
「六本木ヒルズ」の災害への取組みのご紹介です。
 災害は、それぞれの地域によって違うもの。

災害対策は、地域に対応した、まち全体を包括する対策が必要です。
六本木ヒルズは、どんな部分を担っているのでしょうか。

帰宅困難者を想定して

2011年3月11日の東日本大震災時、
東京では、多くの帰宅困難者が発生しました。
内閣府の推計によると、東京で当日に自宅に帰れなかった人は、
352万人にものぼります。

六本木ヒルズは、8月31日に、全社員参加の震災訓練を実施しました。
最寄りの地下鉄六本木駅から、帰宅困難者役の社員55人を誘導、
ヒルズ内の広場にて安否を確認するための個人情報登録のほか、
備蓄品の水とクラッカーの配布、傷病者の手当などを行い、
帰宅困難者、被災者への対応のための一連の動きを確認したということです。

六本木ヒルズを運営する森ビルは、今年3月に、
港区と「災害発生時における帰宅困難者の受け入れ等に関する協力協定」を締結もしています。

土地が狭い東京の中で、多くの人を受け入れる体制を整えられるのは、
大規模都市開発の「六本木ヒルズ」ならではの取組みですね。

インフラの整備

帰宅困難者を受け入れる体制として、食糧備蓄の他に、
災害時の生活を維持するための生活インフラの整備がされています。

1. 長期の断水に備えた2つの井戸
トイレの洗浄水、発電機の冷却水として利用するほか、
自治体と協定を交わし周辺地域への供給(主に雑用水や消火活動用に)にも利用可能だそうです。
井戸水そのものは飲用できないそうですが、濾過滅菌装置により飲用可能になるのだとか。

濾過装置まで用意されていることから、
常に非常時に対応できるように、という防災への関心の高さが伺えます。

2. 都市ガスによる発電装置
六本木ヒルズは、ガスタービンを活用した発電システムがあります。
燃料である都市ガスが供給されている間は発電が可能。
もし停電してしまっても、大丈夫ですね。

東日本大震災時には、3/18から4/30までの間、
4,000キロワットの電力を東京電力に送り続けました。

3. 地震災害に強い都市ガスインフラを積極利用
都市ガスに使われている中圧導管は、
地震にとても強いインフラとして知られています。

六本木ヒルズは、ガスインフラを強化、利用することで、
送電インフラが途絶えても、発電できるようになっているんですね。

非常時に対応させた、しかも周辺地域を巻き込んだ設計になっています。
こちらも、大規模都市開発ならではですね。

 ひとつの地域に、ひとつの対策

災害時に、多くの帰宅困難者が発生するのは、
普段から人口過密状態で、主要交通手段は鉄道という、
東京ならではの事象です。

六本木ヒルズ等を運営している森ビルは、
「逃げだす街から、逃げ込める街へ」という大きな方針のもとに、
まさに東京という地域に対応した対策を、
インフラ整備等のまちづくりで行なっている、と言えます。

東京に住んでいる方は、もしもの時のために、
六本木ヒルズの取組みを覚えておくといいかもしれません。

まとめ

災害対策は、ひとつの地域にひとつの対策。
まちづくりのレベルで、対策を考えておくことは、
どのまちにも必要な、命を守る大切なことです。

みなさんの住むまちは、どんな災害が起こる可能性があり、
どんな被害が想定されるでしょうか。
そして、どんなまちレベル対策が必要でしょうか?